川崎ブレイブサンダースのSNSマーケティング施策事例|Youtube登録者数BリーグNo1チームの戦略を観戦体験から解き明かす

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本日はB1リーグ第35節の川崎ブレイブサンダース対アルバルク東京の試合を現地観戦してきました。
上位対決の好カードでバスケットボールファンには注目の1戦ですが、本日は別の視点 川崎のSNSマーケティングについて注目して、現地で行われた施策や、その効果などについてレポートついていきます。

 

 

川崎はSNSチャンピオン

まず、なぜ川崎ブレイブサンダースの試合を観戦しにいったかです。それは、Youtube登録者数ダントツでBリーグで1番だからです。

 

2022年5月3日時点で、Youtube登録者数が10.3万人となっており、この数字がどれほど凄いかというと、対戦したアルバルク東京の登録者数は1.11万人で約10倍多いです。

 

【Bリーグ Youtube登録者数 ランキング】

チーム名 Youtube登録者数
川崎ブレイブサンダース 10.3万人
千葉ジェッツ 6.2万人
宇都宮ブレックス 1.9万人
琉球ゴールデンキングス 1.4万人
アルバルク東京 1.1万人
滋賀レイクスターズ 0.8万人
レバンガ北海道 0.8万人
三遠ネオフェニックス 0.8万人
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 0.7万人
横浜ビー・コルセアーズ 0.6万人
富山グラウジーズ 0.6万人
秋田ノーザンハピネッツ 0.5万人
島根スサノオマジック 0.5万人
シーホース三河 0.5万人
サンロッカーズ渋谷 0.4万人
群馬クレインサンダーズ 0.4万人
広島ドラゴンフライズ 0.4万人
信州ブレイブウォリアーズ 0.4万人
茨城ロボッツ 0.3万人
大阪エヴェッサ 0.3万人
京都ハンナリーズ 0.2万人
新潟アルビレックスBB 非公開

 

B1リーグの上位陣と比べても際立ちます。2位の千葉ジェッツが6.2万人なので、1.5倍以上多いことになります。Jリーグで同じ川崎をホームタウンとしている川崎フロンターレで8.5万人、Jリーグの中で一番観客動員数の多い浦和レッズは5.4万人となっているので、その数の多さが分かると思います。

 

その功績を認められて、B.LEAGUE AWARD SHOW 2020-21で、ソーシャルメディア最優秀クラブに受賞されています。(川崎ブレイブサンダースHP参照

 

【ポイント】
SNSの登録者数・フォロワー数もチームの人気度を測る大事な指標になっている

 

試合でのSNSマーケティング施策

SNSは主にこの3つのアプリでマーケティング施策を実施していました。

  • Twitter
  • TikTok
  • LINE

Twitter
これはスポンサーであるアシックスと協同で、キャンペーンを展開していました。
写真のようにQRコードで、Twitterへ飛ばして、引用リツイートと#タグをつけさせて、ユニフォームプレゼントというTwitter上でのキャンペーン展開でした。

ASICSと共同でのTwitterキャンペーン
Twitterキャンペーン

実際に翌日にどくらい引用リツイートされてるか確認したことろ、660件でした。
川崎アリーナの収容人数が約5,000人なので、コンバージョンがとても高いなと思いました。
人数に対する件数もマーケティング施策を検討される際の参考になると思います。

 

実際の画面はこんな感じです。
リツイートで拡散されるので、画像を使ったほうがいいと思います。川崎のように人気選手を推していくなど、クリエイティブ画像はターゲット・狙いに合わせいろいろなパターンが考えられると思います。

 

 

また、川崎はTwitterで速報を出すのですが、ここにもしっかり試合画像を使用しています。
さらにスポンサーの名前をいれてるあたりも秀逸だと思います。SNS、若年層向けへの認知向上を課題としている企業には嬉しいスポンサーメニューですね。

 

 

 

【ポイント】
Twitterは拡散性の高さを活かして、画像を拡散させるのが有効

 

TikTok&LINE

ハーフタイム中の催しものとして使用されていました。
観客全員にクイズを出して、SNSを通して回答させる形式でした。

ハーフタイム中の選手に関するクイズ
TikTokクイズ
ハーフタイム中の選手に関するクイズ
LINEクイズ

上手いと思ったのは、ハーフタイム中であれば他にやこともないので、プレゼント当たるならやるかまおなというのと選手に関するクイズなので、ファンのエンゲージメントも高められるなと思いました。

 

私はLINEのほうでやってみたのですが、(TikTokの問題は正解が分からず)、はじめて友達に追加するとまず、アンケートに答えられます。年齢や性別、チケット購入の有無、アリーナへの来場回数などを回答させられ、とても貴重なデータが蓄積しているものと思われます。
こんな感じです。

LINE登録時のアンケート
LINE登録時のアンケート

また、その後に次の試合日程や選手に関する情報の発信など、ファンとのエンゲージメントを作るうえでのとても上手く機能していると思いました。
個人ベースでのデータや、落とし込みにはSNSはとても有効な手段だと改めて感じさせれました。

ほぼ似たような内容を2つのSNSを使用しているのにも理由があります。
LINE(Twittter)は20代~30代では、使用率で他SNSを凌駕しています。意外に若年層のInstagramの使用率もそこまで高くないことが分かります。

TikTokは10代のみ突出して利用率が高いことが分かります。

主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率
令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省より抜粋

 

株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース・事業戦略マーケティング部の藤掛直人氏がインタビューで「YouTubeとTikTokで客層は明らかに違いますね。TikTokのほうがより若い層が多い感覚があります。これまでアプローチの難しかったティーン世代の集客に繋がっています。
この世代で会場に初めて来た人の約40%が「TikTokを見て、チケットを購入した」と答えているんです。」と答えています。
AZrena https://azrena.com/post/18161/より抜粋

 

【ポイント】
10代にアプローチする場合は、TikTokがとても有効

 

 

以上が私が気づいた川崎ブレイブサンダースの試合観戦でのSNSマーケティング施策となります。
こうしてみてみると、SNSマーケティングはメインターゲットを10~30代に絞っていることが伺えます。
SNSのプラットフォーム毎の施策に落とし込む時には、さらにターゲットを細分化し 目的がそれぞれ異なることが分かります。

 

では、ここからはSNS毎の過去の施策事例をみて、目的や効果を考察していきたいと思います。

 

Twitter事例

Twitterは試合でのキャンペーンのように拡散性を活かした認知度向上、ブランディング施策として取り入れていることが分かります。

 

過去にTwitterではどのような効果があったのかをみていきましょう。

■Youtube登録者数10万人突破記念キャンペーン
Youtube登録者数10万人突破を記念したキャンペーンをTwitterで実施していました。

この偉業は幅広く認知させたかったのが見えます。
また上手いと思うのは、このキャンペーンはリツイートではなく、Youtubeのチャンネル登録者数が「10.0万人」以上になった画面をキャプチャーし、添付することを条件にしているので、自然にYoutubeの画面が拡散される仕組みとなっています。

なかには、このかたのように画面を装飾してりなど、様々なキャプチャをTwitterで見ることができます。この方は50いいねされてますが、投稿された人数×フォロワー数と考えると 相当な数のインプレッションがあったことが推測できます。
商品がポートボール2個なので、費用対効果抜群なのでは言うまでもないですね。

 

■TikTokフォロワー数10万人突破キャンペーン

TikTokフォロワー数10万人突破キャンペーンもTwitter上で展開していました。
この施策は、川崎が用意した画像付き投稿画面をリツイートさせるもので、景品ではなく(ユニフォームか、Amazonギフト券が多い)来場をプレゼントにしています。上述のインタビューの通りTikTok→来場の導線を意識していることが分かります。

 

■スポンサーシップにも活用

自チームのマーケティグへの活用だけではなく、スポンサー企業の認知・ブランディング施策にもTwitterを活用しています。
共同でのキャンペーンだけではなく、会場でのアクティビティの様子や、チームを支えている商品をTwitterで発信しています。広告主が発信すると広告感が強く出てしますので、川崎が発信するのはスポンサー企業には大きいメリットだと思います。

 

TikTok事例

TikTokは方針がはっきりしています。
TikTokは10代にアプローチを絞っているので、人気TikTokクリエイターと頻繁にコラボを実施しています。
10代の新規ファンを獲得するために、今まではリーチできていなかった10代へのアプローチにTikTokを活用しているのが分かります。

 

例えば景井ひなさん。

知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、景井ひなさんのTikTokフォロワー数1,100万人います。キャンペーンの内容も、川崎ブレイブサンダースのTikTokをフォローしていただいた方に景井さんのグッズをプレゼントするなど、積極的に取り込んでいるのが分かります。

いいねの数も川崎の通常の投稿では1000~5000の間がおおですが、12万いいねされています。

新規層に通常の10万いいね以上されてるのが分かります。いいねのCVRが10%と仮定した時に100万に見られていることになります。
年齢でターゲットを細分化したときの素晴らしいお手本ではないでしょうか。

@brave_thunders

@kageihina #景井ひな さんゲスト出演記念! #バスケ #basketball

♬ LOOKING FOR – Dezza

 

伊吹とよへさんともコラボしていますね。
伊吹さんも人気TikTokクリエイターです。伊吹さんのTikTokフォロワー数200万人います。
伊吹さんの回の動画も10万いいねを超えています。

@brave_thunders

伊吹さん ( @ibukidayo8484 ) vs 熊谷尚也 ( #川崎ブレイブサンダース ) #バスケ #スポーツの秋 #伊吹とよへ

♬ China Advice – RöE

TikTokはとにかく10代の新規ファンの獲得、エンゲージメントを高めるためのメディアとして活用しているのが分かります。

 

TikTokに関しては、TikTokでLive配信をする際は Twitterでの告知もセットにしています。
TikTokでの新規ファン獲得は今後も継続していくと思いますが、TikTokを活用したスポンサーメニューも構想中かもしれません。

コラボした時の、数字は相当なインパクトがありますが、川崎のTikTok登録者数や、通常の投稿動画でいいねがどれぐらいされるのか注目していきたいと思います。

 

LINE事例

最後にLINEです。

覚える方もいらっしゃると思いますが、
去年 鬼滅の刃とのコラボキャンペーンを実施しました。

ここで注目なのが、プラットフォームにLINEを選択したことです。
川崎と鬼滅とのコラボグッズのプレゼントキャンペーンなので、今までのパターンで考えるとTwitterでもよさそうです。むしろTwitterのほうが拡散効果を考えると有効だとも考えました。

 

ただ、今までのTwitterでのキャンペーンとは、当選者の人数が2,000名と今までとはケタが違います(TWitterでのキャンペーンは5名以下が多い)。
そこで閃いたのが、LINEでのアンケートです。

鬼滅という大人気漫画とのコラボなので、10代などあまり偏ることもなく、網羅的に応募してくれることが期待でき、当選者数2,000名という数字からも相当数の応募(LINE友達追加)が期待できます。

川崎がLINEのデータを重視しているのが、LIBEROの導入からも分かります。

LIBEROのHP内でも答えられていますが、LINEは顧客のデータをチェックし、おすすめの試合や、アイテム、イベントなど個人にカスタマイズした情報発信を目的に導入しています。
年齢など属性情報だけでは、個人の趣向に合わせた情報配信は難しいですが、LINEであればアンケート結果を元に個別にカスタマイズした情報配信ができますし、配信した情報が読まれたかどうかも分かります。
LIBERO HP参照

 

LINEのキャンペーンの特徴として、属性を絞り切らずには数を集めることを重視している傾向があると思います。以前にLINEで実施されていたキャンペーンは、Amazonギフト券10,000万円×3名様でした。

幅広くデータを集め、個別にカスタマイズした情報配信が可能なLINEは川崎のSNSマーケティング戦略の肝になっていくはずです。

LINEユーザーとしてどんな案内がくるのか、気づきがありましたら、共有いたします。

 

まとめ

Twitter

フォロワー数 ターゲット層 施策意図
7.9万人 10~30代 ・認知拡大/ブランディング施策
・スポンサーシップメニュー

TikTok

フォロワー数 ターゲット層 施策意図
10.4万人 10代 ・10代の新規ファンの獲得
・10代のファンとのエンゲージ向上

LINE

フォロワー数 ターゲット層 施策意図
5.0万人 全般 ・個別カスタマイズの情報配信
・ファンのデータ化

 

一見するといろいろなプラットフォームを使って、バラバラな施策を実施しているように見えますがそこには裏に隠された意図がしっかりあることが分かります。
日本のプロスポーツチームで、ここまでSNSマーケティングに積極的に取り組んでいるチームは少ないと思いますので、ソーシャルメディア最優秀クラブも納得です。

今後はさらに、SNS毎に新たな施策や、新たなプラットフォームを活用した時の、狙いや効果についても注目していきたいチームだと思います。

 

 

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